ピアノ用語集

アイボライト白鍵
ヤマハが独自に開発した、天然象牙に特に近い性質を持つ鍵盤素材。吸湿性に優れ、自然なタッチが得られます。
アクション
鍵盤を押す指の動きをハンマーの運動に変える機構。いわばピアノの頭脳といえます。1鍵のアクションは60を超える精密な部品からできており、88鍵では部品の数は約5,500個にのぼります。ヤマハピアノのアクションは、全部品を自社製作しているので、設計の意図が十分に活かされたものをつくることができます。
アフタータッチ
一言でいえば、『弾き心地』と表現されます。もう少し専門的にいえば、「鍵盤を底まで弾いた時のジャックの位置」です。ジャックの位置はその運動量によって決まり、鍵盤の深さとハンマーの始動位置との関係やその他のアクション調整によって変化します。一般的に、運動量が多いとアフタータッチが強くなり、弾き応えのあるフォルテを出しやすい弾き心地となる傾向にあり、逆に、運動量が少ないとアフタータッチが弱くなり、ピアニシモやトリルといった繊細な演奏の際にコントロールしやすい弾き心地となる傾向にあります。ピアノ曲には様々な緩急・強弱の表現が求められますので、アフタータッチは強すぎず弱すぎず、どんな表現も可能な調整状態であることが求められます。演奏技法の上達につれて、より優れたアフタータッチを持つGPをお奨めする理由が、ここにあります。
アリコート方式弦押さえ
グランドピアノやアップライトピアノの上級機種に採用されている弦押さえの方式。弦には、ハンマーに打たれて振動する「有効弦」(駒とベアリングの間)と、その部分自体はハンマーに打たれないが、有効弦と共鳴することで美しい倍音を響かせる役目をする「共鳴弦」(ベアリングと弦押さえの間)があります。アリコート方式ではフレームに山脈状の盛り上がりをつけることで、有効弦と共鳴弦を最適な比率関係にすることにより、音色の輝きや音の伸びを高めることができます。
アリ組
釘やネジを使わず凹凸を結合してつなぎ合わせる伝統的な優れた工法。
響板
弦の振動を共鳴作用によって、大きく美しい音にするための板。ピアノの心臓ともいわれる重要な部分で、表側には弦の振動を響板に伝える「駒」が、裏側には「響棒」が貼られています。
響棒
駒から伝わる弦の振動を響板のすみずみまで伝える役割とともに、響板の強度を増す役目もしています。
共鳴
振動体が、その固有振動数に等しい外部振動の刺激を受けることで、振幅が増大する現象です。アコースティックピアノでは、ダンパーペダル使用時に、音を止める働きをするダンパーが上がったままになることにより、弾いていない鍵盤の弦も振動し発音します。
グレースケールシャッター方式
ヤマハサイレントピアノのキーセンサーに採用されている打鍵情報の読み取り方式。鍵盤を押す力の強弱や動くスピードを連続的に検出することで、微妙なニュアンスを音源に伝えることができます。
ハンマーが弦を打つと、弦が一定の周波数で振動します。これがピアノの音のもと。弦は高音部が細く短く、低音部にいくにしたがって太く長くなります。低音部は弦を太くするため、芯線のミュージックワイヤーに銅線を巻いたもの(巻線)を用います。弦は音色・音量・音律のすべての点で、ピアノの音の良さに密接に関わっています。
黒檀調天然木黒鍵
天然木に特殊加工を施し、黒檀同様のタッチ感を実現したヤマハ独自の黒鍵です。
シフトペダル
グランドピアノの左側のペダル。このペダルを踏み込むと、アクション全体が右にスライドし、3本の弦を打っていたハンマーは2本の弦を、2本の弦を打っていたハンマーは1本の弦を打ちます。このときハンマーに打たれない弦は、打たれた弦の振動を受けて共鳴しますが、振動の位相が逆になるため、互いに打ち消し合う形になります。このため、音量だけでなく、音色も微妙に変化させることができます。また、打弦位置をずらすため、ハンマーヘッドも普段打たない部分で打弦することになり、その微妙な硬度の違いからも、音色が微妙に変化します。シフトペダルが中間のどの位置にも止めることができるので、多彩な音色の変化を自由自在に操ることができ、グランドピアノならではの豊かな演奏表現が生み出されます。
スケールデザイン
ピアノはそのあらゆる部分が互いに関連し合って、ピアノ全体としての音をつくり上げています。そこで、ピアノづくりでは、弦や響板など個々の部分を設計する場合にも、常にピアノ全体を一つのものとして総合的にとらえながら設計していく必要があります。ヤマハではこうした考え方を「スケールデザイン」と呼び、ヤマハのピアノづくりの基礎としています。
スプルース
マツ科の常緑針葉樹。良質なものを選び「ピアノの心臓部」と呼ばれる響板に使用します。スプルースは丈夫で曲がりにくく、木目が通り、軽くて弾力性に富んでいるので振動の伝わり方が早く、ピアノの音色に適しているためです。
ソステヌートペダル
グランドピアノの中央のペダル。ある鍵を押した後でこのペダルを踏むと、指を離してもその弦のダンパーだけが弦から離れたままになり、その音だけを長く伸ばすことができます。
ソフトペダル
アップライトピアノの左側のペダル。このペダルを踏むとハンマー全体が弦に近づき、打弦距離が短くなって、音がソフトになります。
ソフトランディング機構
油圧を使って鍵盤蓋がゆっくりと降りる機構。すべてのヤマハアコースティックピアノにこの機構が付いています。
ダイナミックレンジ
最も大きな音と、最も小さな音の間の幅のこと。この幅が大きいほど表現力が豊かといえます。
ダンパー
アクション機構の一部で、弦の振動を押さえて、音を止める働きをします。鍵盤を指が押し下げている間はダンパーは弦から離れていて、弦は自由に振動できますが、鍵盤から指が離れるとダンパーが弦と接触し、音を止めます。
ダンパーペダル
右側のペダル。このペダルを踏むとダンパーが一斉に弦から離れ、鍵盤から指を離してもダンパーは戻らず、弦は長く振動を続けます。これにより、音を持続させて次の音を弾くことができます。
チューニングピン
このピンをチューニングハンマーという道具を使って、締めたり緩めたりして弦の張力を変えることで、調律を行います。なお、弦のもう一端を保持するためのピンはヒッチピンといいます。
トーンエスケープ
グランドピアノでは、響板から出た音が直接弾き手の耳に飛び込んでくるため、自分が弾いた音を直接耳で確かめながら演奏できます。しかし、アップライトピアノでは構造上、前板があるためにどうしても音はこもりがちになります。こうした点への配慮から、アップライトピアノの一部の機種では、前板のところに一定の空間をつくり、ここから流れ出る音を直接耳で確かめながら弾くことができます。この仕組みがトーンエスケープです。
長駒・短駒
弦の振動を響板に伝えるために、響板の表側に貼り込まれているのが駒。低音弦のための短駒と、中音から高音を担当する長駒とがあります。
ハイブリッドピアノ
アコースティックピアノのタッチ感と電子ピアノの便利さや豊富な機能を兼ね備えた、ヤマハならではの楽器です。アコースティックピアノの鍵盤アクションと木製鍵盤により、アコースティックピアノに限りなく近いタッチ感を追求しています。また、ヤマハコンサートグランドピアノからサンプリングした高品質なピアノ音源を使用し、弾き応えのある演奏感にこだわっています。
倍音
ピアノの音はそのもととなる基音のほかに、多くの異なる振動数を持つ音を同時に出すことで、豊かな響きを生み出しています。それらの音の中で、基音の整数倍の振動数を持つ音が倍音。この倍音がどのように含まれるかは、ピアノの音質に大きく影響します。
ハンマー
弦を打って音を出すための槌のような形をした部品。鍵盤を叩いた指の動きはアクションによってハンマーに伝えられ、ハンマーが弦を叩くことで弦振動を起こさせて、ピアノの音を生み出します。
ブッシングクロス
フレンジの回転部分や、鍵盤の裏側の2本のピンに支えられて運動する部分の、ピン穴の内側に貼られている布のことです。フレンジの回転や鍵盤の動きをスムーズにし、雑音をなくす働きがあります。
フレーム
全体で20トン以上にも及ぶ弦の張力を、支柱と一体となって支える鋳鉄製の構造物。その堅牢さと精度は、ピアノの耐久性と音質に大きく影響します。
フレンジ
アクションの関節に当たる部分にあって、アクションの運動を円滑に伝達していく役割をはたしています。
Vプロ
Vプロとはヴァキュームプロセスの略で、砂をフィルムで包み込み、真空状態にすることで砂を固定する鋳造方法。ヤマハはこの専用設備により、制度が高く、安定した品質のフレームを製造することができます。
マフラーペダル
アップライトピアノの中央のペダル。このペダルを踏んで固定すると、ハンマーと弦との間に薄いフェルトの幕が下り、フェルトの上からハンマーが打弦するようになるため、音量を下げる効果があります。また、サイレントピアノ/ディスクラビアでは、中央のペダルは「消音ペダル」で、消音演奏に切り替わります。
ミュージックワイヤー
工業用のものも含め「ピアノ線」は鋼鉄でできています。その「ピアノ線」のうち、ピアノ専用に高精度につくられたものをミュージックワイヤーと呼びます。低音部の巻線は、ミュージックワイヤーに銅線を巻いてつくられています。
ヤマハ・コンサルティング・サービス(YCS)
メーカーと特約楽器店が一体となってお客様のピアノを見守っていくための、ピアノのアフターサービスの指針です。ヤマハはパーツの提供や技術研修、技術者の養成などを行い、特約楽器店は楽器の性能維持のための調律・修理のみならず、ピアノに関する様々な相談への対応を行います。